第13回 冬と肥満
滝田雄磨 獣医師
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冬に多い病気のひとつ。肥満。
肥満は万病のもととも言われています。
今回はこの肥満について紹介していきます。 -
冬、肥満が注意喚起される理由はなんでしょう。
それには、肥満の2つの原因が関わっています。
肥満の原因は、消費カロリーの減少と摂取カロリーの増加です。
すなわち、運動量と食事管理が関わっています。
①運動量
犬種にもよりますが、犬は比較的、寒さに強い動物だと考えられています。
サモエドやシベリアンハスキーが真っ白な銀世界でそりを引いて疾走する。
そんなソリ犬たちの姿は、勇ましくたくましいものです。
では、一方の日本国内の犬たちをみてみましょう。
犬の室内飼育が劇的に増えた日本では、
寒い冬でも暖かい家の中でぬくぬくのほほんと過ごしています。
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もちろん寒い冬に無理やり外飼いにすることは危険です。
しかし、そんな温室育ちの犬たちは、
冬になると外に出たがらなくなります。
あんな大好きだった散歩にも行きたがらなくなります。
当然、散歩に行かなければ、運動量は減っていきます。
運動量が減れば、カロリーの消費量も減少します。
カロリーの消費量が減少すれば、次第に肥満は進行していきます。 -
②食事管理
多くの方は、冬だろうが夏だろうが、食べているものは変わらないよと思うでしょう。
しかし、動物病院で問診していると、そうでもない現実が見えてきます。
まず、冬休み、正月などの大型連休についてです。
多くの方は、この大型連休を使って実家に帰ったり、
親戚があつまったり、犬猫を親戚に預けて旅行をしたりします。
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たいていの飼い主の親戚さんたちは、
犬猫たちに会うと、かれらに夢中になってしまいます。
そして、かれらに好かれようと一緒に遊んであげたり、
おやつをあげたりします。
犬猫たちも遊んでくれたりおやつをもらったりすれば、大喜びします。
そんな姿を見て、親戚さんたちはまたおやつをあげてしまいます。
おやつを沢山たべれば、当然摂取カロリーは増えていきます。
おじいちゃんおばあちゃんに甘やかされる孫たちの原理です。 -
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では、大型連休ではない時期はどうでしょうか。
飼い主さんたちも冬になると、寒くて外出する機会が減ります。
すると、家で犬猫たちと過ごす時間が増えます。
犬猫たちと過ごす時間が増えると、
犬猫たちがおやつのおねだりをする機会が増えます。
最初はおやつをあげすぎちゃダメだと思っていた飼い主さんも、
根負けしておやつをあげてしまいます。（割と早い段階で…） -
こうして、犬猫たちの摂取カロリーは増加していきます。
冬は摂取カロリーと消費カロリーの両方の点で、
肥満になりやすい時期なのです。
また、そもそも冬の寒い時期は、脂肪がつきやすい時期でもあります。
本能的に脂肪を蓄える・・・われわれの正月太りにもそんな原因が隠れていたりします。
肥満にならないため、肥満から脱するためにはダイエットが必要です。
誰もが思うことですが、楽してやせる方法はないのでしょうか。
犬猫たちは、やせたいなんて思っていません。
やせさせたいのも太らせたいのも、飼い主のエゴです。
しかし、肥満は万病のもと。
犬猫たちの健康を考えてあげると、適切な体重管理をしてあげたいところです。
犬猫たちになるべくストレスをあたえずに、体重管理をする方法を考えていきましょう。
【体重計るだけダイエット】 ずばり一番効くダイエット方法だと思います。要は危機意識の問題です。
人間のダイエットでもそうですが、実際に体重が増えているという実感をすれば、
やせなくてはならないという意識が強くなります。
逆に言えば、ある程度の努力をしてダイエットをしていても、
しばらくしてから体重を計って、思いのほか体重が減っていなかったらどう思うでしょうか。
いままでの努力の達成感が全く得られません。
そんなことになれば、やる気がなくなって当然です。
しかし、ある程度の努力しかしていなかった自分が悪いのです。
やるからにはしっかり効果が得られる努力をしなければ、逆効果になるわけです。
これを防ぐためにはどうすればいいのか。
こまめな結果の評価が、効果を発揮します。
面倒だなぁと思うかもしれませんが、
一番楽な方法だと思って、毎日〜数日に一回の体重測定をしてみましょう。
そして、できればその結果を折れ線グラフにしてみましょう。
いまは便利な世の中なので、スマートフォンのアプリでも簡単につくることができます。
犬猫の体重の変化は、自分の体重以上に気がつきにくいものです。
5kgの犬が6kgになっていた。
これは単純に計算すると、50kgの人間が60kgになっていたことと同じです。
とんでもない体重増加ですね。0.5~1kgの体重の変化でも、危機感をもちましょう。
ちなみに、犬猫たちの体重の測定方法ですが、犬猫たちを抱っこして体重計に乗り、
そこから飼い主の体重を引けば簡単に計算することができます。
【危機感を生かす】
では、危機感を得た次は、何に気をつければいいのでしょうか。
先述した通り、肥満を左右するのは、摂取カロリーと消費カロリーです。
それぞれの面から対策を考えましょう。
�＼歇茱�ロリー できるのであれば、単純にご飯を減らしてあげましょう。
しかし、それが簡単にできれば苦労はありません。
たいていの場合は、飼い主さん側が根負けをしてしまいます。
満腹にしてあげられないなんてかわいそうだ。本当にそうだと思います。
そこで取るべき方法は、食事の内容を変えることです。
手軽にできる方法は、減量用のフードに変えることです。
そして、パッケージに書いてある体重ごとの適量のフードを与える…
ここで注意していただきたいのが、この表に書いてある体重です。
今現在の体重より少なめの体重にしてください。
フードにもよりますが、多くの場合、
減量に成功した犬猫の体重の目安として書いてあります。
現在の体重の目安のフード量が、
その体重の子がこれからしっかり痩せるためのフード量として記載した場合、
どんどんどんどん痩せていってしまう恐れがあるからです。
その犬猫の理想体重を念頭において、目安量を考えるようにしましょう。
ちなみに、その子の1歳のときの体重が理想体重の目安のひとつとして使うことができます。
ペットベリーおすすめのダイエットフード
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では満腹感は・・・？
減量用のフードは、
摂取カロリーに対する満腹度が高いように作られています。
それでも満腹感が得られない場合は、野菜を使いましょう。
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犬猫たちでは栄養面で日常の野菜の摂取は必須ではありません。
しかし、食物繊維の豊富な野菜は、実は強力なダイエットフードになります。
ネギや玉ねぎなど、禁忌のフードを避け、野菜食についても検討してみましょう。
①消費カロリー
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運動をすれば消費カロリーが増加します。
寒くて散歩に出かけない場合は、
室内でおもちゃなどを使って運動させてあげましょう。
運動することにより、ストレスも発散され、
運動の欲求とともに過剰な食欲も抑えられることがあります。 -
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たまごちゃん
などゴムやシリコン素材のおもちゃ
イレギュラーバウンドにやみつき！
安全なラテックスゴム素材のおもちゃ♪
その他シリコン素材など高齢犬でも噛みやすいおもちゃも！
ここで注意してほしいことが２つあります。
１つは、遊んであげるときにあげるご褒美です。
せっかくたくさん運動しても、ご褒美をあげすぎてしまえば、
摂取カロリーが増加してしまいます。
ご褒美が必要なときは、ごく少量にしましょう。
また、減量用のフードを一粒だけご褒美としてあげる方法も有効です。
２つめは、滑りやすい床です。
肥満の子にとって、急な運動は関節に負担をかけます。
室内のフローリングなど滑りやすいところでは、怪我につながりかねません。
滑らないようなマットを敷き、足裏の毛をバリカンがけして滑らないように工夫しましょう。
しばらく運動をしていなかった重症の肥満の子の場合は、 少しずつ運動をするようにしましょう。
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冬と肥満の関係、
ダイエットのコツと注意点について紹介しました。
コロコロと丸くなった犬も猫もかわいくて好きなのですが、
残念ながら肥満は心臓、骨、関節、呼吸器をはじめ、
全身に悪影響をおよぼすことが知られています。
犬猫が太るも痩せるも、飼い主さん次第。
長く楽しく一緒に過ごせるよう、
しっかりと体重管理をしてあげましょう。 -
